コロナ「5類」飲食店でのマスク着用について考える

新型コロナウィルスが感染法5類に分類されました。今まで当たり前だったマスクの着用、飲食店ではどうしたらいいのでしょうか。

新型コロナウィルス5類とは

発生から3年以上が経過した2023年5月8日、政府は新型コロナウィルスの感染法上の分類を2類相当から5類へと引き下げることを決定しました。5類とは、季節性インフルエンザなどと同様の扱いになることを指しています。新型コロナウィルスによって世の中の動きが大きく変化し、それは飲食店などに多大な影響を及ぼしました。営業自粛や営業時間短縮によって客足が遠のいてしまったり、感染を予防するためのさまざまな対策に追われる日々が続き苦しい期間であったといえます。

2類相当と5類の違いとは

それでは、2類相当と5類では何がどう違うのかをみていきましょう。

2類相当

  • 感染力及び罹患した際の重篤性からみた危険性が高い感染症です。
  • 結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、新型インフルエンザ(H5N1、H7N9)などと同じ扱いとなります。
  • 国や自治体によって、入院勧告や、就業制限、外出自粛等の要請が可能です。
  • 検査や治療費などは、全額公的負担となります。
  • 特に人の集まる場所や飲食店などでは、マスクの着用が推奨されていました。
  • 上記は無症状の人にも適用されます。

5類

  • 国が感染症発生動向調査をおこない、その結果等に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に提供、公開することで発生やまん延を防止すべき感染症です。
  • 季節性インフルエンザ、RSウイルス感染症、後天性免疫不全症候群(エイズ)、麻疹、風疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)、手足口病などと同様となります。
  • 緊急事態宣言などは無くなり、飲食店に対する営業時間短縮などの要請も無くなります。
  • 水際対策も原則的に無くなります。
  • 医療費やワクチン接種が全額公費負担から、一部自己負担に変わっていく見通しです。
  • スポーツやコンサートなどにおける観客数の制限も見直されました。
  • マスクの着用は、個人の判断にゆだねられることになりました。ただし、医療機関への受診や高齢者施設への訪問時など、感染防止対策にマスクが効果的な場面もあるとしており、飲食店や交通機関などの事業者は感染対策や事業上の理由などによって、利用者または従業員にマスクの着用を求めることは許容されるとしています。

5類になることのメリット、デメリット

2類相当から5類への引き下げによるメリットとデメリットは、具体的にどのようなものがあるのか見てみましょう。

メリット

  • コロナ禍以前のような経済活動の再開となります。
  • 感染してしまった際は、公的費用によってかかりつけ医など一般の診療施設で受診することができます。

デメリット

  • 感染してしまった際は公的費用となりません。
  • ワクチン接種が有料になる可能性があります。
  • 感染時の各生命保険会社の給付金が対象外になる見通しとなっています。
  • 感染拡大の危険性が高まります。

このように基本的には、これからは自己責任でなんとかしなくてはならないという状況になりつつあるのです。新型コロナウィスル感染症が完全に終息したわけではない中での5類、つまり引き続き感染症対策を続ける必要があるということになるのです。

規制のない5類で世の中はどう変わるのか

ひとの動きが多くなる大型連休明けなどに感染拡大の波が来る可能性はこれまで通りと考えられます。ところが行政による無料検査のサポートがないため、体調に異変を感じても検査を受ける人数が減ることが考えられます。行動制限がなく、隔離などができないため、少しくらいの体調不良であれば出歩くひともいるでしょう。

市中ではマスクを外したひとたちが、当たり前のように感染者との共存となり、感染のリスクが大幅に高まります。個人にゆだねられた感染対策として、これまで通りに、手洗いうがいをしっかりと意識し、場合によってはマスクを着用したほうがいい場面もでてくる可能性があります。

5類による飲食店のマスク着用について考える

新型コロナウイルスは、インフルエンザと同じ呼吸器感染症ではあるのですが、咳やくしゃみによる飛沫が主な感染源であるインフルエンザとは異なり、飛沫に加えて、さらに微小なエアロゾルとよばれるマイクロ飛沫によって感染が拡大します。マスクを正しく着用することは、感染を防ぐ効果が非常に高いことがわかっています。

マスクの着用が個人の判断となった5類では、飲食店においては特にスタッフのマスク着用について対応に頭を悩ませている場合が多くみられます。実際のところ、飲食店のなかでも対応が分かれているというのが事実です。例えば、くら寿司や吉野家ではスタッフのマスク着用を継続していく動きがある一方で、はま寿司やすき家、バーミヤンやガスト、スターバックスコーヒー、マクドナルドなどではスタッフのマスク着用は任意としているようです。

マスクを外すメリットは、コロナ禍以前の雰囲気を作りやすくなることで、活気を取り戻すことができます。しかし、スタッフがマスクをつけていないことを不安視する人たち一定数いることも事実です。これは、スタッフだけでなく客として利用する側にも同様のことがいえるでしょう。

自分の周りの混雑具合、新型コロナウイルスの流行状況、自分が感染した場合に重症化するリスク、家族に感染を広げてしまった場合のリスクなどを考慮すること、またマスクによって話し声がわかりずらい、表情がわからない、息苦しい、などのマイナス面に関しても理解したうえでマスクの着用を判断するしかありません。

マスクの着用に関しては正解や不正解はないのです。マスクの着用を強制する飲食店はなくなりましたが、中には逆に脱マスクを推奨するような飲食店もあります。嫌な思いをしないためにも自身の判断で飲食店選びをする必要があります。

まとめ

特に飲食店では、食事中の会話などにより飛沫感染がおこりやすい環境であるためマスク着用については慎重にならざるを得ないでしょう。持病をもっていたり、感染に不安があるという場合には今まで通りにマスクを着用することを継続すると安心です。また従業員がマスクの着用を続けているお店を選んだり、混雑する時間帯を避けるなどの工夫をするといいかもしれません。

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