飲食店は新規に開業で非常に人気の業種である一方、廃業率が最も高い業種でもあり、経営が難しいとされています。なぜ飲食店の開業や経営が難しいといわれるのか、その理由と飲食店を開業するにあたり、必要な準備にはどんなものがあるのかを理解して開業に備えましょう。
飲食店の開業や経営が難しいとされる理由
まずは飲食店の新規開業や経営難しい理由をみていきます。
競合の存在
さまざまな業種の中でも飲食店は競争が激しい業界です。飲食には流行があったり、消費者のニーズの変化などがみられます。それらに対し、あらたな開発を求められることもあるでしょう。一方で定番となっているメニューも質を落とすことなく維持しなくてはいけません。これらに対応することで競合店との競争に勝ち抜いていく必要があるのです。これが営業を継続していく難しさといえます。
売上が安定しない
飲食店は需要の変動が激しく、身近なところでいえば時間帯や天候、季節、または流行によって売り上げが日々変わっていきます。そのため売り上げの予測や在庫の管理が難しく、決まって安定した利益を確保することが難しいのです。さらに店舗の大きさによって、対応できる人数やサービスには限界があり、だいたいの売り上げの上限が決まってしまい、それ以上の売り上げは期待できません。
慢性的な人手不足
飲食店は、料理や飲み物を提供するまでの総合的なサービスを求められます。スタッフを雇い、調理や接客をしてもらうことが重要となります。ところが飲食店は営業時間が長いうえに、休日の少なさ、賃金の安さなどが原因で働く人が少ないといった現状があります。このような慢性的な人手不足から近年は配膳ロボットなどを使う飲食店も増えてきていますが数百万円かかる場合もあります。
新規参入時の初期費用が高い
飲食店は立地条件がとても重要となりますが、いい物件は総じて家賃が高くなっています。また店舗が大きければ大きいほど、さまざまな経費がかかります。また資金の多くは内装費用にかかるため、飲食店は開業にあたりかなりの初期費用を必要とするのです。これらの初期費用の高さは新規参入時の大きなハードルとなります。
飲食店開業で準備すること
飲食店の開業までの開業準備には大きく分けて4つの流れがあります。
コンセプトの設計
コンセプトは飲食店開業において最も重要なポイントとなります。店舗のイメージとなるをできるだけ具体的に細かく決めることが重要です。
事業計画をたてる
実際の事業内容とそれに関連して発生する収支についてまとめたものになります。創業の動機や店舗情報、資金計画、収支計画などを記入します。
メニューの開発
ターゲットのニーズを予想したメニューを開発します。最初は看板メニューと他数品から始めるといいでしょう。
開業資金の調達する
飲食店の開業準備で最も重要なポイントともいえる資金調達です。自己資金ですべてまかなえるという場合以外は融資などを考えなくてはいけません。
届け出を出す
管轄の保健所や税務署などに必要な届け出を提出します。
飲食店開業にはどれくらいの費用がかかるのか
業態によって設備のコストが、店舗の広さ、いわゆる坪数によって内装工事費が変わってきますが、それらを含めてだいたい1,000万円前後ほどがかかります。
また飲食店が開業してから軌道に乗って黒字になるまでには半年以上かかるといわれています。黒字になるまでの半年分の運転資金はあらかじめある程度確保しておく必要があります。中には自己資金で1,000万円用意できるという人もいるかもしれませんが、多くの場合はなかなか難しい金額です。このように飲食店開業には非常にお金がかかることから、融資を利用する人がほとんどです。
飲食店開業で融資を受ける難しさ
飲食店の開業資金の調達方法として、もっとも一般的な方法が日本政策金融公庫からの借入です。新規開業者は銀行やノンバンクから融資を受けにくいからです。
日本政策金融公庫は、一定額の自己資金の投入が必要ですが、新規開業する方を対象としており、担保・保証人は不要です。また低金利で、融資限度額は3,000万円と新規開業者にとって利用しやすくなっています。しかし、それは誰でも融資してもらえるということではありません。融資を受けるためには審査を通過する必要があり、これまでのお金の管理からいままでの経験など下記のチェックを受けることになります。
これまでの経歴
飲食店経営の経験の有無の確認です。経験が無い人が創業する場合、融資はとても難しくなり、大きな金額の融資はうけることができない、もしくは融資を受けることができなくなる可能性があります。
借入金の使い道
借り入れた資金をどのように使うかが重要視されます。使途の明細をはっきりと記載することで信頼できる使い道であるということをアピールしなくてはいけません。
事業計画書
決められた書式を元に事業計画書を作成して提出する必要があります。項目をただ埋めるのではなく、アピールと根拠のある数字を示すことが重要で、しっかり返済計画が見通せることを伝えることがポイントとなります。
資金繰り計画
売上と支出の内訳を記録し、収支の過不足を管理することです。融資を申し込む際は、少なくとも開業から1年程度の資金繰り計画を提出します。
信用情報
他の金融機関からの借り入れ額、返済遅延などがこれにあたります。借入残高や返済実績、金融事故などがなければ、事業計画書上では経営者としての返済能力があるという判断となり、金額によっては融資を受けることができます。
自己資金
融資希望金額に対して自己資金が極端に少ない場合には融資自体が厳しい状況となります。自己資金は多ければ多いほど、融資を受けやすくなります。
上記をみてわかるように、融資は簡単に受けられるものではないということを理解しておきましょう。さまざまな要素を総合的にみて判断されることなので融資を受けるための対策をしておくことが重要です。
融資を受けるための対策
事業の将来性や成功確率の高さ
事業の将来性や成功確率の高さは融資の返済が可能であるかということにつながります。それを証明するものは事業計画書となります。事業計画書の精度を高めることは融資を可能にするだけでなく、実際に事業を始めたときにいかに安定して事業を継続していけるかという点において明確な道筋となります。
経営者としての自覚や能力はあるのか
経営者としての自覚や能力は、面談などにて審査されます。面談で大事なのことはしっかりと自分の言葉で語れているかという点ポイントになります。創業のためにしっかりと準備をしてきたこと、周囲の理解を得ていること、などを話し経営者となるための自覚を見せましょう。またそのためにも事前に飲食店での経験をつんでおくことで、それが実績として認知してもらうことにつながります。
専門家のサポートを受ける
特に初めて開業する場合、右も左もわからない状態からスタートになります。開業に関して詳しい専門家への依頼することで融資を受けやすくなります。
融資に限らず、事業計画書から相談に乗ってくれるアドバイザーは新規のオーナーには必要不可欠といえます。最終的に融資を受けられるように、さまざまな知識や方法で手助けをしてくれます。開業初心者が自分で融資申請をした場合の成功率は50%程度となっており、融資の難しさがわかります。専門家の力を借りることで融資を受けられる可能性があがります。
まとめ
飲食店開業には資金調達をいかにスムーズに進めることができるかが大きなカギとなります。融資を受ける際に、少しでも不安がある場合には各機関への問い合わせや飲食店開業のアドバイザーに、まずは相談をしてみるといいでしょう。